ワーケーション施設が豊富な熱海
オーシャンビューの非日常空間で生まれる発想と深まるチームワーク2024.0905
首都圏からアクセス抜群で自然豊かな静岡県熱海市は観光だけではなく、ビジネスとの相性も良い。目の前に広がる海を眺めながら会議や研修、仕事をしたいという人も多く、開放的な景色が新しい発想につながったり、チームビルディング強化の好機となったりしている。
東京駅から東海道新幹線で一本。わずか40分ほど移動するだけで景色は一変し、慌ただしい日常から解放される。首都圏からの利便性が高い熱海はビジネスとプラスアルファを掛け合わせる上で、これ以上ない場所と言える。観光やグルメ、癒しや気分転換など、あらゆる需要に熱海は応えている。その中でも今回は「ビジネス×オーシャンビュー」をテーマとした施設をご紹介したい。熱海サンビーチでは、白い砂浜の先には青い海が広がり、ヤシの並木通りは海外のリゾート地の雰囲気と重なる。海の眺望を楽しめるのは夏だけではない。1952年(昭和27年)にはじまった歴史ある花火大会「熱海海上花火大会」も、夏だけではなく年間を通して10回以上開催され、熱海名物となっている。
熱海ではオーシャンビューを満喫しながら会議や研修ができる施設の需要が高い。その中でも企業や団体のリピーターが多い施設の1つは、三菱地所が運営するワーケーション施設「WORK×ation Site 熱海」。三菱地所のフレキシブル・ワークスペース事業部に所属する北川亜友美さんは「もともとはテレワークが普及し始めていた2018年に、更なる普及を見越して、テナント企業の多様な働き方を支援するためにワーケーション事業に参入しました。東京からのアクセスの良さと、開放的な気分で仕事ができると考えてこの場所に本施設をつくりました。現在はコロナ禍を経て、企業や団体様の問合せが増えてきています」と話す。
三菱地所株式会社 フレキシブル・ワークスペース事業部 北川 亜友美 氏
(写真の施設は「WORK×ation Site 伊豆下田」)
設計で最もこだわったのが「内装」。部屋には複数の小窓がついていて、窓を覗くと水平線が見える。目の前に海が広がる立地を最大限に生かした空間となっている。そして、プロジェクターのように持ち運びが大変な機器から文房具などの小さな物まで、仕事をする上で不自由がない設備を整えている。地方で課題として挙がりやすいネットワークの環境も本施設では万全であり、同時に複数台のパソコンやスマートフォンを使っても問題ない。ソロワークにも対応できるように、個人向けのブースも設けている。
どんなに景色が美しくても、仕事の効率が落ちてしまうと利用者の満足度は下がる。「WORK×ation Site 熱海」では、非日常の開放感と普段通りのオフィス環境を両立している。北川さんは「利用者の大半は都心に本社を構えている企業で働いているので、都心と変わらない状況で仕事ができる内装設備は大事にしています。ご自身のパソコン1つだけ持ってきていただければ仕事できるようになっています」と解説する。
施設を活用する目的は、チームビルディングが多いという。規模の大きな企業で同じ部署に所属する20人前後が集まり、ディスカッションして何かを決めたり、新しいアイデアを出し合ったりする。ビーチでのバーベキューといったアクティビティと組み合わせて親睦を深めてから、グループワークに入る企業もある。開放的なオーシャンビューの環境だからこその意外な効果もあるという。例えば、実際に利用した人たちから「日常のオフィスとは異なる空間で開放的な気分に浸れることから、平常よりもざっくばらんに意見交換ができた」、「普段体感できない自然に触れながら、まとまった時間を確保しアイデア創出に集中することができました」などの声が届いているという。
「WORK×ation Site 熱海」には、宿泊施設がないところも特徴となっている。三菱地所は本社を置く東京・丸の内を中心に事業を展開しており、熱海でのビジネスは地域貢献の目的もある。宿泊施設をつくらないことで、地元企業に宿泊費や食費が落ちるため、地域でお金が回る仕組みを構築できる。また、新幹線に乗る時間が決まっているので、それまでに会議を終えたり、時間内で結論を出したりしやすくなるメリットもあるという。
「施設は午前8時半から午後6時まで利用できます(※)。日中のキラキラした水面が輝く海も素敵ですし、夕方に日が沈んでオレンジ色に染まる海も感動します。海の色んな表情を見ながら効率良く仕事できるところが熱海の魅力です。『WORK×ation Site 熱海』はワーケーション施設ですが、団体さんの会合など多様な用途で使っていただければと思っています」
※ご相談に応じて早朝利用や夜間延長利用も可能。
夜の宴会や宿泊を伴うワーケーションで人気なのは熱海後楽園ホテル。利用客を惹きつけているのはやはりオーシャンビューだ。経営企画創造の紫芝訓平さんは「海がきれいに見える立地です。しかも、夜はライトアップされた熱海の街並みも見えるので、昼も夜も絶景を楽しめます」と語る。
株式会社東京ドーム・リゾートオペレーションズ 熱海後楽園ホテル 経営企画創造 紫芝 訓平 氏
熱海後楽園ホテルは洋室のAQUA SQUAREと和室や和洋室など、様々な客室タイプを取り揃えたタワー館、合わせて189室を用意している。AQUA SQUAREの部屋にはデスクがあり、ワーケーションでも便利な、お一人様でも泊まれる客室も用意している。タワー館の和室は5人で宿泊しても十分な広さがある。幅広いニーズに応えられるところが特長の1つとなっている。AQUA SQUAREとタワー館どちらに宿泊しても、景色を満喫できる。紫芝さんは「海を眺めて、普段と違う環境に身を置くと、新しいアイデアが浮かんでくるのではないでしょうか」と話す。
ビジネスで利用するのは、100人を超える規模の団体が多いという。ホテル内には最大700人を収容できるコンベンションホールがあり、企業や組織が会議や研修で活用している。コンベンションホールは4分割できるため、人数や用途に応じてレイアウトを変えられる。本社営業所副所長の岡本恭輔さんは「静岡県は地理的に関東と関西のちょうど中間地点にあります。熱海は新幹線も止まるので、全国各地からビジネス目的の集合場所として選んでいただけるのだと思っています」と説明する。
株式会社東京ドーム・リゾートオペレーションズ 熱海後楽園ホテル 本社営業所副所長 岡本 恭輔 氏
利用者の大半は、仕事を終えたらそのまま宿泊していく。宿泊後や夕方からの会議前に熱海を観光する人も多い。パワースポットで有名な来宮神社やMOA美術館、食べ歩きは熱海を楽しむ定番。夏は海水浴に加えて、SUPやダイビングといったマリンスポーツが人気となっている。
熱海後楽園ホテルがワーケーションに選ばれる、もう1つの理由はホテル内にある日帰り温泉「オーシャンスパ Fuua(フーア)」にある。全長約25メートルと日本最大級の露天立ち湯は目の前の海を遮るものが一切なく、海に浮かんでいるような感覚に浸れる。かけ流しの 露天湯や展望サウナも、海と空を一望できる。
施設内には趣向を凝らした8種類のラウンジがつくられている。海を眺めながらゆったりとくつろぐ「オーシャンラウンジ」や海に突き出したベンチに腰掛ける「ウミカゼテラス」など、ほぼ全てのラウンジからオーシャンビューを楽しめる。
海に面したカウンタースタイルの「engawa」はコンセント完備で、パソコンを持ち込んで仕事することもできる。その他にも岩盤浴やロウリュキャンプといったリラックススペースが豊富。紫芝さんは「オーシャンスパ Fuua」は一度入館すれば一日中いることができます。ホテルの部屋で仕事をしてから気分転換に温泉や岩盤浴を利用する方もいらっしゃいます。非日常の空間で仕事と息抜き、どちらも満たせると思います」と話す。
東京から新幹線で40分移動するだけで、海を眺めながら開放的な気分で仕事ができる熱海。観光地の枠にとどまらず、ビジネスでの利用者も満足させる施設が充実している。